2011年10月にBS放送への参入を予定する衛星放送事業者4社は、2011年8月22日から25日にかけて相次いで会見を開催した。

 ビーエスFOXは2011年8月23日に、媒体説明会を開催した。同社が立ち上げる「FOX bs238」は、コアターゲットはF1(20~34歳の女性)とする。既存の民放系BS放送チャンネルが主な視聴者層として意識するM3(50歳以上の男性)やF3(50歳以上の女性)とは異なる層をターゲットにして視聴者の開拓を目指す。FOXインターナショナル・チャンネルズの代表取締役社長である小泉喜嗣氏は、「我々はBS放送のビジネスを追随型でやろうとは思っていない。F1層にテレビの前に戻ってもらいたい」と意欲を見せた。

 小泉氏は既存のテレビ放送について、「主に地上波にかかわる話になるが、あまりスタイリッシュではないように思える。これらとは違うものを提供しようと、これまでCSで試みてきたが、多チャンネル放送という環境の中での取り組みにとどまってきた」という。今回のBS放送への参入によって、「人々の生活にインパクトを与えることが可能になるのではないか」としている。

のべ4400万世帯にリーチ

 FOX bs238の媒体としての特徴や魅力については、FOXインターナショナル・チャンネルズの取締役副社長である井股進氏が説明した。FOX bs238と、FOXが運営する六つのCS放送チャンネルを組み合わせて、最大7チャンネルで広告主の提供番組やキャンペーンを放送できる点をアピールした。7チャンネルでの放送によって、「のべ4400万世帯にリーチできる」(井股氏)という。

 井股氏は今回の説明会で、番組接触率調査について述べた。調査は放送が始まる10月1日から毎日行う。関東地区の20~59歳の男女を調査対象とする。さらにインターネット上でのカスタマイズ調査にも対応する。ブランドや商品の認知度や、クライアントのサイト訪問数、購入数が、クライアントがキャンペーンを行う前とその後でどのように変化したかなどを、実データに基づいて効果測定をレポートする。このほかに、FOX bs238の看板番組と位置付ける「Xファクター」のイベントと連動した広告企画や、開局前夜祭(2011年9月30日開催)もアピールした。

 FOX bs238の視聴料は月額315円である。開局から1年間はキャンペーンを実施し、番組を無料で視聴できるようにする。BS放送を受信できる環境にあれば、FOX bs238への加入手続きをしていなくても、リモコンで選局すれば番組を視聴できるようにする。

 井股氏はFOX bs238の特徴として、「CSのサイマル放送ではなくBS独自編成の放送を行う新規チャンネルである」「トレンドに敏感なF1層に訴求できるスタイリッシュなグラフィック」「FOXらしいスタイリッシュでインターナショナル感溢れる番組企画」などを挙げた。さらに既に放送番組の一つである「SEX AND THE CITY」のスポンサーとしてローソンとワコールの2社が決定したと報告した。

BSスカパー!も登録者に1年無料放送

 スカパーJSATも開局から1年間、BSスカパー!(子会社のスカパー・エンターテイメントが2011年10月から運営を予定)を無料で視聴できるようにする。電話やWebサイトで登録をした視聴者のBS放送受信機をスクランブル解除の対象にする。開局から10日間はノンスクランブル放送を行い、この期間中はBS放送を受信できる環境にある世帯すべてが手続きなしでBSスカパー!を視聴できるようにする。無料キャンペーンを行うに当たり、「スカパー!の楽しさを、もっとみんなに。」をスローガンとして掲げている。

 開局日の2011年10月1日には、開局記念番組の「34時間元気TV」を放送し、様々なジャンルのスペシャルコンテンツを34時間連続で視聴者に届ける。さらに同日22時から、BSスカパー!のオリジナル連続ドラマである「Oh!デビー」を放送する。開局後は生放送のオリジナルバラエティーショーの「BAZOOKA!!!」の放送も予定する。

 高田社長はBSスカパー!について、記者からの質問に答える形で、「スカパー!やスカパー!e2の優良なコンテンツを多くの人に見てもらうためのショーウインドーやショーケースと位置付けている。これのみで採算を取ろうとは思っていない」と述べた。スカパー!やスカパー!e2を含めての加入者の増加を目指すという。BSスカパー!をCS放送と組み合わせずに販売することは「考えていない」としている。

 BSスカパー!の視聴者数の目標について、執行役員常務 有料多チャンネル事業部門 マーケティング本部長の川西将文氏は、「2012年9月までに少なくとも300万世帯ぐらいに見てもらいたい」と述べた。無料キャンペーン終了後のBSスカパー!の視聴料について、執行役員専務 有料多チャンネル事業部門 放送事業本部長の田中晃氏は、「現時点は決めていない。今後1年間でどれくらいの金額が妥当かを探りたい」と述べた。スカパー!e2の加入者については、「圧倒的に割安な値段でBSスカパー!も視聴できるようにすることを考えている」(田中氏)という。